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第80話 初めての友達

作者: 雨音休
last update 公開日: 2026-06-14 06:03:20

 今日は、ウミにとって初めての大規模なお祭りだった。

 ベルフラウとトウマが現実での昼食を終えてゲーム内に戻ってくる。

 アストラブールの石畳の両脇には出店の屋台が並んでいる。午後になり営業を始めたようだ。らっしゃいらっしゃいという威勢の良い声が響いていた。屋台の種類は、わたあめ、焼きそば、お好み焼き、射的、他にもたくさん。アストラブール名物のポロポージュという煮込み料理も売られていた。美味しそうな香りが漂っており、ウミのお腹がぐーと鳴る。そういえば今日はまだ何も食べていない。ステータス画面を出して眺めると、ウミの満腹度は20%以下だった。

 ベルフラウとトウマは見つめ合って照れたように笑う。トウマから右手を差し出した。

「真帆」

「うん」

 二人が手をつなぐ姿がとても自然だった。

 ウミの心は切なくなる。

 この二人、

(羨ましいですぅ)

 ドンと音がした。

 ――高級恋愛クエスト、お祭りデートで恋人と熱いキスをする

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  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第153話 砂漠のアイスキャンディ

     製菓できるアイスクリームは三種類だった。 そのうちの一つ、アイスポーションキャンディをベルフラウがダンスで量産してくれた。 Sランクアイスポーションキャンディの効果。 HP回復(大)。暑さ無効。暑さデバフ無効。快適度上昇(大)。効果時間、2時間。(画期的すぎる) トウマはペロペロと舐めていた。身体に染み入る美味さだ。若干薬臭いのは仕方ないだろう。:アイスキャンディはずるいw:ポーション味ってそれ美味しいの?:美味しさよりも涼しさじゃないか? 余談だが、これまでの三週間の間に、ギルドメンバー全員がノーファン村で初心者の包丁を獲得している。みんなが料理機能を解放させていた。 小さなオアシスを出発し、みんなで砂漠をまた歩いていた。小さな砂丘を上がったり下ったりした。直射日光がじりじりと照りつけている。だけど暑くない。汗も出てこない。体力をとられることも無かった。アイスの効果が肌を守ってくれている。身体がひんやりと涼しかった。快適である。晴恋とアイギスは相変わらずキャルル丸の背中に乗っていたが、今度は背筋を伸ばしていた。歩行スピードは上がっており、砂地をさくさくと踏みしめている。みんながアイスを舐めている。ウミがふんふんと鼻歌を歌っていた。「ふんふんふーん、もう暑くありませんよー」「助かったわ、ウミちゃん」 ベルフラウが微笑して金髪のボブカットを揺らす。アイスをかじってぽりぽりとかみ砕いた。 ウミは得意げに胸を張った。「猫は役に立つですぅ」「本当ね。偉いわ」「これからもどんどん良い行いをするですぅ」「うんうん」「きゃるるぅっ」 キャルル丸がつぶらな瞳を細めてアイスをバリバリと頬張っている。尻尾が嬉しそうに振動していた。 それからも数十分ほど歩いた。 遠くに町の影が見えてくる。広い穴をナツメヤシがぐるっと囲んでいる。その周囲には日干しレンガで出来た家々がたくさん建っていた。背の高い教会があり、つるされている銀色の鐘がテカテ

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第152話 意義はありますです

     荷馬車とはすでに別れを告げていた。 砂漠を歩いていた。 聞こえるのは砂を踏みしめる音と乾いた風の音だけである。 先ほどまで周りにあった木々や草は、後方の彼方へすっかりと消えている。地平線まで砂の大地が広がっていた。強烈な日差しを砂地が照り返している。身体が焦げてしまいそうだ。汗がどんどんと噴き出てくる。喉はとめどなく渇き、事前に持って来ていたジュースをみんなが飲み干していた。砂漠のフィールドは暑さデバフがかかるようで、みんなのHPがじりじりと減少していた。メンバーにヒーラーはいない。そのためポーションを飲んで回復していた。用意周到なベルフラウがポーションを多く買い込んで来ていてくれていた。こういうところ、この恋人は本当に抜け目がない。仲間のHPが少なくなる度に配っている。だけどポーションの液体がぬるい。トウマはひんやりと冷えた麦茶が飲みたい気分だった。砂地に足を取られつつも、みんなで歩をゆっくりと進め続ける。 キャルル丸だけは日差しに強いようで平気そうな顔をしていた。その背中にアイギスと晴恋がまたがっている。この二人はもうダウンしそうなほどにへろへろだった。アイギスは無言、晴恋は「次の町はまだですか?」と何度もつぶやいている。:みんな暑そう。:ニキさん、涼しくなるようなジョークを言ってくれw:キャルル丸だけは余裕なんだな。 先頭ではベルフラウが地図を広げており、方位磁石で方角を確かめていた。その隣をウミが並んで歩いている。ウミがぐったりとした声でつぶやいた。「師匠、正面の空間がゆらゆらと揺れているですぅ」「あら本当……蜃気楼ね」「蜃気楼って何ですかぁ?」「上空と地上に温度差があると、光が屈折して景色が曲がるのよ」「はうぅぅ、私、自分の目がおかしくなったと思ったですぅ」「大丈夫よウミちゃん。あたしも同じだから」「師匠、ちょっと休憩したいですぅ」「ダメよウミちゃん、こんなところで休めないわ」 ベルフラウとウミのすぐ後ろにはトウマとニキがいる。

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第151話 給料日

    翌日。今日は給料日だった。 一週間に一度、領地からの税収の分配をトウマからもらう日である。 ウミはウキウキとしていた。(あうぅぅ、いっぱい欲しいですぅ) みんなで荷馬車の荷台に乗っていた。目指すは次の町である。乾燥した土の道路を、荷馬車がガタンゴトンと音を立てて進んでいく。オリーブやユーカリなどの硬葉樹林がところどころに背を伸ばしている。遠くではお腹のふくろに子供を入れた動物が飛び跳ねていた。ベルフラウが「カンガルーだわ」と言ってステータス画面を出す。カメラ機能で撮影をしている。晴恋も同じようにした。カンガルーの耳はウミのそれよりも長い。毛色は茶である。二本足で立つ姿は、どことなくキャルル丸に似ていた。(あうぅ、可愛いですぅ) 次の町は砂漠のど真ん中という話だった。行くのが楽しみで仕方無い。砂漠とはどんなところだろうか? トウマの話によると、ひたすらに砂地が広がっているらしい。昼は暑く、夜はとても冷えるようだ。新たな景色に胸が高鳴る。だけど、自分の水着姿で大丈夫だろうか? ちょっとだけ心配だった。 配信ドローンが外から追いかけて来ている。視聴者はいるようだが、コメントは少なかった。 荷台にあぐらをかいているトウマがステータス画面から銭袋を取り出す。そして声をかけた。「みんな、税収を分けるから、一人ずつ取りに来てくれ」「ダーリン、今回はいくらなの?」 ベルフラウが撮影をやめて振り向いた。ニコッと微笑をこぼしつつ床に座る。 トウマは口角を上げた。「もらってからのお楽しみだな」「ちょっと、いじわるしないでよ。教えなさい」 ベルフラウが四つん這いで床を進み、トウマから銭袋をもらう。ステータス画面で鑑定した。「あら、多いわね!」「私も欲しいですぅ」「僕も」「きゃるるぅっ」「俺っちももらうさ」「私もいただきます」 みんなが順番に分配をもら

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  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第149話 恋になればいいな~三巻エピローグ~

    白川駅の駅前だった。 午前十一時過ぎ。 辺りは行き交う人々で溢れている。若者が多く、カップルの姿も見受けられる。ガヤガヤとした話し声が響いていた。少し遠くからは路上で弾き語りをしている男性のギターの音と歌が聞こえてくる。オリジナルであり修行中のようで、少し粗が目立つ。だけど不思議ともう少し聴いていたいと思った。弾き語りの男性の前には小さな人だかりができている。スマホで撮影をしている人もいた。撮影オーケーのようだ。子供連れが通りかかり「あの歌聴いたことある」と声を上げた。親が「聴いたことないでしょ」とたしなめている。晴夏は壁のそばで突っ立ったまま、静かに拝聴を続けた。空は澄み渡るような快晴である。 ニキトとはすでに顔写真を交換してあった。彼の現実の顔はゲームとは違う。全体的にアバターよりも少し大人びている。髪型は相変わらずソフトモヒカンだった。今から会うのが楽しみである。 やがてニキトが改札口のある室内の扉から現われて、こちらへ歩いてきた。格好はカジュアルな黒のTシャツにグレーのチノパンである。茶色いショルダーバックを肩に引っかけている。 晴夏は思わず笑顔になった。写真よりもずっとイケメンである。目鼻立ちがすらっとしていた。それに背が高い。175cmはありそうだった。黒のTシャツも似合っている。彼が気づいて右手を上げた。 「は、晴夏、待ったさ?」 目の前で立ち止まる。 晴夏は首を振った。 「大丈夫です。私もいま来たところですよ」 ニキトがこちらの姿をそっと眺める。そして親指を立てた。 「晴夏は、ゲームで見るよりもずっと美人さ」 「ありがとうございます」 「その白いワンピース、似合ってるよ」 「本当ですか?」 「ああ、女神みたいさ」 「くぷぷ、それは言い過ぎですよ」 「本当だって」 「ありがとうございます」 ニキトが嬉しそうに顔を赤らめている。何だか可愛い。晴夏の胸が熱くなった。触れたいと思ってしまう。だけどまだ会ったばかりだ。それに、自分から手をつなぐ勇気はない。 ニキトが「行こう」と言ったので、晴夏は頷いた。並んで歩き出す。お昼は市でも有名なお蕎麦屋さんで食事をすることにしていた。晴夏が道案内である。 道中、二人の会話はゲームのことだった。共通の話題はそれほどまだ無い。だ

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第148話 勝利の美酒

    あれから一時間が経過し、女性たちはデスペナルティを終えてログインしていた。 キャルル丸の頭には花かんむりが載せられている。 トウマが音頭を取った。 「それじゃあ、キャルル丸の歓迎とギルドバトルの優勝を祝して、乾杯!」 「「かんぱーいっ」」 「きゃるるぅっ!」 コップをぶつけ合う音があちこちで重なった。 トウマの考えていたことはこれである。 キャルル丸の歓迎会をやったことはまだ無い。だから今日という絶好の日にお祝いをしてあげたかった。 白いテーブルクロスのかけられた丸いテーブルをみんなで囲んで座っていた。キャルル丸だけは立ったまま深い器に入れられたミルクをぺろぺろと飲んでいる。テーブルには蝋燭の灯りがあった。天井には魔導具のシャンデリアがあり、辺りをしっとりと照らしている。他に客はおらず、グラスオースの貸し切り状態だった。ベルフラウがワインをごくごくと一気に飲み干してテーブルにグラスをとんと置いた。頬がほんのりと染まっており、喜びに溢れている。彼女が右手を上げてウェイターに目配せした。やってきたウェイターにアメジスコッチという最高級のお酒を注文する。ウェイターが瓶をすぐに持ってきて、その紫色の液体をグラスに注ぐ。ベルフラウは香りを楽しむようにグラスを回した。それから液体の半分を口に含む。「美味しいわ」と満足そうな声を上げた。 ニキの隣ではキャルル丸が巨大な骨付き肉をかじっていた。花かんむりが華やかである。豪快に焼き上げられた香ばしい肉を牙で引きちぎり、頬を膨らませてむしゃむしゃと咀嚼する。味わっているのかつぶらな瞳が緩んでいた。骨まで食べ出す始末だ。ガリガリと音が響いている。太い尻尾がぶんぶんと揺れていた。花かんむりが嬉しいのか「きゃるるぅっ」と高い声で鳴いていた。 配信ドローンはない。 トウマはみんなから預かった金をすでに返していた。視聴者からの投げ銭の分配も行ってある。だけど、賞品のAランクスキンカード選択券は一つしかなかった。これはどうすればいいだろうか? トウマの隣にいるベルフラウが絡んでくる。 「ねえトウマ。あたし、優勝戦は全然活躍できなかったわ」 「そうなのか?」 トウマは苦笑しつつ、濃厚なソースのかかったハンバーグステーキをナイフとフォークで切り分ける。一切れ口に運んだ。ジュワッと甘い脂がしみ出る。

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第47話 それぞれの準備

     ――ヒイラギがノーファン村の領主に任命された その一文は、ログインをしているプレイヤー全員の頭上に表示されたのだった。 ノーファン村のヤマネコ食堂。そこでは小さな宴会が行われていた。 直方体の木造りの室内。木製のテーブルが規則的に並んでいる。古めかしい定食屋といった雰囲気であり、テーブルの上には様々な料理と酒瓶が並んでいる。焼き肉、油淋鶏、鳥の軟骨の串焼き、レバニラ、揚げ豆腐、ウインナー、山盛りフライドポテト、サラダ、他にもたくさん。 壁の掛け時計を見てウミは眉尻を下げた。いま午前八時前。悲しみの吐息をつく。 これから、どうなるのですか? 今頃トウマは、何をしているでしょうか。

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第39話 邪蛇討伐の証

     ついに邪蛇狩りが始まった。 満天の空の下。山の上の地面の土は硬く、背の低い雑草が絨毯のように生えている。トウマとウミは、大きな岩の後ろに隠れて山頂の様子を見守っていた。今までずっと登山して来たのだ。 ちなみに先ほど夕食を食べた。昼と同じカレーライスである。もう飽きた。 山頂にはキャンプファイヤーが焚かれているようで、その煙がモクモクと上がっている。炎の灯りに照らされて、人々の戦う様子がよく見えた。 邪蛇、グランツエル。そいつは紫色に輝く肌をした大蛇であり、電車一両ぶんほどのサイズがありそうだ。まるで龍のように美しい。右に左にうねって地面を這い、人々に襲いかかる。 人々の先頭にいる

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第37話 守る理由

     昼食時。 トウマは一度ログアウトをした。狭いマットルームに戻ってくる。毎度のことながら味の選べるログネストラーメンを注文し、割りばしですすって食べた。全ての味をすでに食べ尽くしたせいで、もう飽きてしまった。ちなみに今日の味はミソである。 ベルフラウと会って直接話をしようと思い、隣室の気配を探ってみる。だけど彼女がログアウトしてくる様子は無い。一時間待って、トウマはがっかりと肩を落とす。(真帆は昼食を摂らないのか?) 仕方無く、ゲーム内に再び戻った。 山壁の根元にぽっかりと空いた洞窟。周囲の壁は岩のように硬い。まるで獲物を飲み込むために大口を開けたクジラの口のようだ。これはダンジョン

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第22話 容姿も武器

     村の服屋。 そこは宿屋の隣の直方体の建物だった。セルティラン衣服店と書かれた看板がでかでかと出ている。ベルフラウは顔だけ振り返り、口の端に笑みをたたえる。ふふんと笑った。やはり偉そうな態度だ。「うふふん、ここよ」「はいですぅ!」 ウミが元気に右手を上げた。扉を開けて三人で入室する。 こぢんまりとした木造の室内。さぞかし多くの服が飾られているのだろうと思ったのだが、一つも無い。だけど店の奥では何かの作業の音が響いていた。 ベルフラウは迷わずカウンターのそばへと歩み寄る。女性店員に話しかけた。「ふふん、こんにちは」「はい、ここは衣服店です。服の作成をご希望ですか?」「そうよ。

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